知識
2015.10.01
すべての味わいには意味がある!中国料理に秘められた「五味」の考え方を知ろう
「空飛ぶものは飛行機以外、2本足なら人間以外、4本足なら机以外は食材になる」といわれる中国料理。しかし、やみくもに食材をチョイスして料理しているわけではなく、そこには、健康を考えたある一定のルールがあるようです。医食同源の国、中国の味覚に関する考え方を見ていきましょう。
5つの味が司る健康
中国料理では、味によって身体に及ぼす影響が左右されると考え、それは五臓六腑の五臓に対応するとされています。これは医食同源を提唱するうえでも基本となる考え方です。以下の「五味」と呼ばれる5つの味わいです。
酸味:
医食同源のなかでも、酸っぱい味は、肝臓の働きに関係しているといわれます。また、血液の流れを改善する力を持つため、動脈硬化や脳こうそくなど、血管の病気を気にする方は食べるようにするとよいでしょう。
苦味:
苦い味は、身体を冷やしたり、炎症を穏やかにしたりする働きがあります。一方、固める作用もあるため、中国で医食同源を追求する人たちは下痢のときに食べるそうです。
甘味:
甘い味は、身体の滋養になる味で、胃腸の働きを整える役割もあるといわれています。緩和作用で胃が痛いときにも食べるそうです。
辛味:
からい味は、医食同源の世界では呼吸器と関係があるといわれていて、からい味は、風邪のひき始めなどに食べるそうです。また、血のめぐりをよくして身体を温める働きもあります。
塩味:
しょっぱい味は、腎臓と関わっているといわれ、不要物を体外に排出する働きがあると同時に、五味のほかの4つの味が身体に吸収されることを促します。
味の組み合わせで相乗効果を狙う
この五味は、調理の際は1つの味だけでなく、2つ以上の味を組み合わせるルールになっています。その理由として、1つの味だけではバランスが悪く、かえって身体に負担をかけてしまうと考えられているためです。
例えば、酸味と甘味のある酢豚や、甘味と塩味のあるジャージャー麺など、身体によいだけでなく、味覚のバランスとしてもおいしい料理になりますね。
ほかには、苦味と辛味、辛味と酸味、塩味と苦味などが、五味の味覚の組み合わせです。料理をするとき、これらの味わいを意識してみましょう。その日のメニュー全体で、5つの味がバランスよく味わえるようにするとよいですね。
食材にも健康を司る意味がある
中国では、5つの味わいだけでなく食材にもそれぞれ意味があり、身体の薬として捉える考え方が浸透しています。
ほうれん草
ほうれん草は鉄分が豊富な食材ですが、結石を作りやすいとされるシュウ酸も多く含まれており、食べすぎると腎臓に負担をかけるそうです。そのため、腎臓や膀胱に問題を抱えている人は注意する必要があるとされています。
タケノコ
タケノコは中華料理に欠かせない食材ですが、気管支炎の人は食べるのを控えたほうがよいとされています。なぜなら、タケノコにはヒスタミンのような物質が含まれており、気管支が刺激され、炎症を誘発しやすくなるといわれているためです。
ニンニク
ニンニクの強い刺激は、胃腸が弱っているときにたくさん摂ると炎症を悪化させてしまうため、避けたほうがよいでしょう。
このように食材の持つ「気」が身体に与える影響を配慮して定めた禁忌食材がありますが、どれも科学的にも説明のつくものばかりです。昔ながらの知恵は、現代にも通用する健康を守るための食養生。長い歴史のなかで育まれ、伝えられてきた食の教えは、今でも私たちを助けてくれています。
五味をいつもの食卓に取り入れよう
何気なくいただいている中国料理の一皿には、実は奥深い意味が隠されていることがわかりますね。それは、身体の健康を考えた、昔からの研究の成果ともいえます。
ふだんの献立に五味すべてがそろうようにすれば、バランスのとれた食事になりそうですね。五味を意識して中華のメニュー選びをしてもよいかもしれません。
せっかくですから、昔からの食の知恵を活用し、健康な身体づくりに役立てましょう。