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横浜中華街をもっと知ろう〜中国に関する豆知識〜

うんちく

肉まんはなぜ和菓子の饅頭とは別の道を歩んだのか?

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横浜中華街を歩いていると、あちこちで目につくのがテイクアウトの肉まん。日本では、コンビニでも売られているほどポピュラーな食べ物ですが、もともとは饅頭(マントウ)という中国の蒸しパンの一種でした。
饅頭には、食事代わりになる具を詰めたものから、スイーツとして楽しめる甘いものまで、いろいろな種類があります。中国料理では点心のひとつだった肉まんが、日本で独自の地位を築いた背景にはどんな謎があるのでしょうか? 肉まんの歴史とともに探っていきましょう。

饅頭は神をあざむくための“おいしいウソ”だった?

中国で饅頭は、練った小麦粉を発酵させ、球状またはかまぼこ形に丸めたものを蒸した料理を指します。具は入っておらず、具入りのものは包子(パオズ)と呼んで区別します。
饅頭の起源は、3世紀初頭、「三国志」のレジェンドの1人である諸葛亮(孔明)のエピソードから始まったとする説があります。
南方遠征の帰り道、氾濫する川の前で足止めをくらっていると、その土地の人々が川の神に祈りを捧げるため、人間の首を切り落として供え物にしようとしていることを知ります。諸葛亮はこれを止めさせようと策を練り、人間の首の代わりに羊や豚の肉を小麦粉で作った皮で包んで首に見立て、それを供え物にしたところ、見事に氾濫が収まりました。
それ以降、南方の人々は人間ではなくこのニセ首を川に供えるようになり、もったいないので用が済んだら食べるようになりました。
饅頭という名称は、南方の人を蛮族(ばんぞく)と呼んでいたことから、「蛮族の頭」が「蛮頭」と縮まって音が同じの饅頭に転じた説と、「瞞(だま)す」を使った「瞞頭(まんとう)」が同じ音の饅頭に転じた説などがあります。

饅頭が日本に伝来するタイミングは3回あった?

10〜12世紀の北宋時代には、中国でも具入りの饅頭を包子と呼び、庶民に親しまれる食べ物になっていました。これが日本に伝えられたのは13世紀中頃のこと。中国で修行を終えた僧が帰国して、甘酒を使って小麦粉を発酵させるレシピを博多の茶屋の主人に伝授したそうです。
それとは別に、その100年ほど後の14世紀半ば、禅宗の広まりとともに普及した茶の湯で供される食事として、饅頭が着目されます。
ところが、中国由来の饅頭は肉を使っていたので、殺生を禁じていた日本の仏教では御法度。そこで肉の代わりに煮た小豆を詰めることが考案されました。
こうして茶席では肉を使わない饅頭がポピュラーになり、江戸時代になって甘いお菓子としてバリエーションを生み出していきました。
その後500年ほどは、日本で饅頭といえば甘いお菓子を意味していましたが、状況が変わったのは19世紀半ばの明治維新後。それまで御法度だった肉食が解禁され、一般の食卓にも牛肉や豚肉が登場するようになりました。
当時の横浜中華街では、中国出身者が腕を振るった点心メニューのなかに肉を使った饅頭があり、珍重されていたようです。これが徐々に日本人の口に合うようにアレンジされ、東京でも売り出されるようになり、全国へと広まりました。

日本では「肉まん」は料理人が作る

明治維新後の肉食解禁までは、日本で饅頭と呼ばれていたのは甘いお菓子。和菓子の饅頭は菓子職人が作っていましたが、具の材料が違う「肉まん」は、菓子職人ではなく、料理人が作るようになりました。
つまり、日本は中国とは違って、お菓子の饅頭と肉まんは、違う食べ物という認識から歴史が始まっているのです。

肉まんと豚まんは同じなのか?違うのか?

名称については、具材に肉を用いたことから「肉まん」が第一候補となり、東京を中心に東日本で「肉まん」の名称が広まりました。しかし、近畿地方を中心とする西日本では「豚まん」の名称が主流になりました。それはなぜなのでしょう。
もともと、田畑を耕したり荷物を引っ張ったりするために用いられていた牛や馬が、明治維新とともに日本の肉食の材料として解禁となった当時、西日本では「肉といえば牛肉」という認識が広まっていました。そんななか、豚肉を使った饅頭を「肉まん」と呼ぶわけにはいかず、必然的に西日本では「豚まん」と呼ぶようになったようです。

横浜中華街散策は肉まんを頬張りながら

今では、肉まんを中心に、カレーまん、ピザまんなど、世界中の食文化を包み込んでその勢力を拡大し続けている饅頭文化。各店で趣向を凝らした肉まんを食べ歩くもよし、お土産に買って帰るもよし。横浜中華街ならではの味わいを堪能してくださいね。

参 考

  • まんじゅう(こうして生まれた小麦料理)|日本製粉株式会社
  • 食の定番メニューは、いかにして“定番化”したのか?焼肉、中華まん…嘘だらけの歴史|Business Journal
  • 日本の養豚の歴史|日本養豚協会
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