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グルメ

2016.10.03

横浜で生産が始まった西洋野菜

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観光地のイメージの強い横浜ですが、実は意外にも農業が盛んです。みなさんは、横浜市周辺でどんな農作物が収穫できるかご存知ですか?
横浜市や神奈川県で生産されている農作物の中には、横浜港開港をきっかけに生産が始まった西洋野菜が多く、横浜市では地産地消を促進しています。今回はそんな西洋野菜がどのようにして生産されるようになったのか。その歴史を紐解きます。

はま菜ちゃんが目印、横浜産の野菜

横浜市では、地元の生産者によって生産された農作物を横浜ブランド農産物「はま菜ちゃん」として認定しています。平成10年2月には、コマツナのような形をしたシンボルマーク「はま菜ちゃん」が一般公募で選定され、横浜市内の農家で生産された野菜・果物の中から認定された30品目にマークがつけられています。認定された30品目は、ホウレンソウ、コマツナ、トマト、キュウリ、ナス、トウモロコシ、ネギ、 エダマメ、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、タマネギなどです。
特に「浜なし」は、横浜市で生産されたナシの統一ブランドで、豊水・幸水・新水という3つのメジャーな品種をまとめてブランド化したもの。直売所などでしか手に入らず、新鮮でおいしいと人気です。横浜でのナシづくりの歴史は戦前に始まります。戦時中に生産休止を余儀なくされますが、昭和20年代に青葉区や港北区などで栽培が再開され今に至ります。

来日した西洋人によって生産された西洋野菜

もう少し歴史をさかのぼりましょう。
横浜周辺だけでなく、日本人にとっては馴染みのあるダイコンやゴボウ、サトイモ、ナスといった野菜は、日本全域で栽培されていました。これは主に加熱して食べる野菜です。しかし、日本人の食生活にも影響を及ぼす、加熱しない野菜が生産されるきっかけになった、ある出来事が起こります。横浜港の開港です。
野菜を加熱して食べる習慣が根強かった日本人。しかし開港で日本にやって来た西洋人は、サラダなど生で野菜を食べる習慣がありました。横浜周辺で生産されている野菜を見ると、生で食べることに向いている野菜はほとんどない……。ということで、自分たちで食べなれた野菜を育て始めたのです。
開港後の横浜の様子を記した書物には、西洋野菜が横浜近郊で生産されはじめた当時のことが記述されています。レタス、パセリ、キャベツ、カリフラワーなどが次々と栽培に成功したようです。そんな西洋野菜の需要に目をつけた奉行が、吉田新田(現在の中区末吉町)で西洋野菜の栽培を始め、そこから西洋野菜の栽培が広がっていきました。

横濱開港菜は全14種

横浜市では、開港時に生産が始まった西洋野菜を「横濱開港菜」として認定しています。トマト、レタス、キャベツ、カリフラワー、ニンジン、いちご、リーキ、エンダイブ、芽キャベツ、パセリ、アスパラガス、サヤエンドウ、ラディッシュ。セロリの14種類です。
なかでも横浜とゆかりの深い農作物の一つにトマトが挙げられます。
食用のトマトが初めて栽培されたのは、文久3(1863)年。中区末吉町にある畑でした。神奈川奉行所の指定で西洋人の監督のもと、試作が行われたとされています。それまで日本では、トマトは基本的に観賞用だったので食べ物と捉えられていなかったのですが、開港時に食用に改良されたトマトが伝来し、栽培されるようになりました。
その後、西洋野菜栽培農家の一人である清水與助が、トマトの加工事業を始めました。清水與助は、ケチャップの作り方を横浜の外国人スポーツクラブの料理人であった細貝音八から教わり、明治29(1896)年に生産。これが国産初のトマトケチャプといわれています。

地産地消で味わう横浜

中華料理にもたっぷり使われる野菜。横浜中華街の各店でも横浜産の農作物がたくさん使われているはずです。味付けもさることながら、素材の良さは料理の味を左右する大事な要素。食べるときは、「これ横浜産かな?」と地産地消の意識を持ってみると、今まで以上に横浜への愛着が湧くのではないでしょうか。

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