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横浜中華街をもっと知ろう〜中国に関する豆知識〜

知識

2015.11.01

紹興酒と老酒の違いがわかるオトナになる!

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横浜中華街で「ドラゴン・ハイボール」が注目されているのを知っていますか? これは紹興酒をソーダで割った中華街ならではのカクテル。異国情緒にマッチしたビール代わりの飲み物として人気急上昇中です。
そのレシピの軸となる紹興酒には、いろいろな呼び方があります。その謎を解きながら、種類の違いや飲み方などについて見ていきましょう

紹興酒は生まれた土地の名前だった?

紹興酒は中国(中華人民共和国)で製造される醸造酒の一種です。中国酒には大別して蒸留酒の「白酒」と醸造酒の「黄酒」があり、紹興酒は黄酒を代表する酒となります。
東シナ海に面した浙江省の紹興という都市には、風光明媚な鑑湖(かんこ)という名水を称えた湖があり、周辺は稲作に恵まれた土地柄でした。この名水と米を使って紀元前400年ごろから作られるようになったのが黄酒の起源で、名産地だった紹興の名を取って紹興酒と呼ばれるようになりました。

紹興酒の酒母の造り方

紹興酒の主な原料は、糯米(もちごめ)、麦麹です。伝統的な製法としては、まず糯米を精白し、鑑湖の水に浸しておきます。糯米が乳酸発酵したら取り出して蒸します。浸しておいた水は「漿水(しょうすい)」と呼ばれ、これも原料に使用します。蒸した糯米に、酒薬と呼ばれる粳(うるち)米粉とヤナギ蓼(たで)で作る酵母や乳酸菌の種をまぶし、仕込みに使用する大きな甕(かめ)の内壁に塗りつけていきます。
数日すると、酒薬をまぶした糯米のデンプンが糖化し、甕の底に液体がたまってきます。この甘酸っぱい液は漿凹酒(しょうおうしゅ)と呼ばれます。ここに麦麹と鑑湖の水を入れ、繰り返し混ぜながら発酵を促していきます。
発酵した液体を絞って漉し、殺菌をしたものが紹興酒を作るための酒母となる淋飯酒(りんはんしゅ)です。

紹興酒の種類

元紅酒(げんこうしゅ)
淋飯酒に漿水、鑑湖の水、蒸した糯米、米麹を加えて醸造する、紹興酒製法の基本となる酒です。攤飯酒(たんはんしゅ)とも呼ばれていました。1次発酵に10日間、その後は小さな甕に移して蓋をし、屋外で2ヵ月ほどかけて2次発酵させ、アルコール度数を16~17度にしてから濾過します。
加飯酒(かはんしゅ)
元紅酒と工程は同じですが、糯米と米麹を1割ほど増量して醸造します。醸造してアルコール度数が18~19度になったものを、最低3年は熟成させてから出荷します。
善醸酒(ぜんじょうしゅ)
仕込みの際に 鑑湖の水の代わりに元紅酒を使います。これによってアルコール度数が高くなり、濃厚な酒となるため、重醸酒、酎、醇酒などと呼ばれていました。
香雪酒(こうせつしゅ)
原料にする醪(もろみ)の元紅酒に麦麹と糟取り焼酎を追加して、そのまま3~4ヵ月熟成させた原料を使って仕込んだ酒。アルコール度数は20度で、甘味が強いのが特徴です。

老酒・花彫・陳年の違い

中華料理店のメニューでは、紹興酒のほかに老酒と書いてあったり、花彫や陳年といったような名称が付いていたりして、混乱する人も多いようです。
老酒は、長期熟成させた黄酒の呼び方のひとつ。また、色の濃い仕上がりの黄酒や、中国本土以外で製造された黄酒を呼ぶときにも使われます。花彫と陳年は、いずれも3年以上熟成させた黄酒の名称に使われ、花彫は中国本土産、陳年は台湾産という違いがあります。
また、中華人民共和国政府は2000年に、紹興で製造された黄酒にしか紹興酒という名称を使えないという「原産地規定」を打ち出しています。

間違いだらけの“ニッポン流”紹興酒の飲み方

明治以降、中国との貿易が盛んになったことで、日本にも紹興酒が輸入されるようになりました。アルコール度数の高い善醸酒や香雪酒は甘味が強く、また、中国の一部地域で行われていた砂糖を加える飲み方が日本にも伝わったこともあり、「紹興酒は角砂糖などを入れて飲むのが本式」として流布したことが原因のようです。また、輸送の際に酒が劣化してしまい、それをごまかす方法として用いられたこともあったようです。
しかし、正しい製法で醸造された紹興酒は、醸造酒本来の甘味を備えています。砂糖を加えて飲みやすくするのも自由ですが、ぜひそのままで味わってみることをおすすめします。
また、冒頭でも紹介したように、カクテルの素材としても楽しむことができます。白酒に比べればアルコール度数も低いので、中華料理をより一層引き立ててくれる相棒と呼べるのが紹興酒。
中華街ならではの甕出しの生酒などに出合ったら、ぜひグルメと一緒に楽しんでみてください。

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